YANAGI GAKU ARCHITECTS

免震

■「なぜ免震構造が必要なのか」
昨年、政府の地震調査委員会は相模トラフ沿いで発生する地震について、南関東で30年以内にマグニチュード(M)6.7~7.2程度の大地震が発生する確率は70%、関東大震災(M7.9)級の確率は最大0.8%と発表しました。M7級でも最大震度は6になる恐れがあると言われています。日本全域が地震帯域に入ったとも言われます。

今、注目されている免震構造とは、建物の足元を地面から切り離し、その間に免震装置を組み込んで地震の激しい揺れを低減するシステムです。地震入力を1/10程度(耐震建物の2階に対しては 1/14)に低減でき、建物を地震から守る構造です。

私は従前の耐震構造による設計だけではなく、積極的に免震構造による設計も取入れることにしました。

■木造と鉄骨造の住宅の設計にIAU型免震システムを採用
この大地震がいつ起こっても不思議ではないという状況のなかで、特に木造と鉄骨造の免震に優れた、IAU型免震住宅設計資格者として認定試験に合格し、登録をしました。
■IAU型免震装置について
これまで建築物に採用されている免震支承の多くは「積層ゴム免震支承」でしたが、この免震装置ではある程度重さのあるビルなどの建物でないと有効でなく、木造・鉄骨造等の軽量建物には免震効果は期待できませんでした。
これに対し、軽量建物にも免震効果が得られるのが、「転がり免震支承」です。IAU型免震システムは、非常に免震性能の高い、そして、コストパフォーマンスの優れた、二重免震皿転がり免震支承を採用しています。
当然、木造・鉄骨造等の軽量な戸建て住宅にも対応でき、優れたコストパフォーマンス、高い免震性能を発揮します。IAU型免震システムは、阪神・淡路大震災クラスの揺れ(震度7)をわずか1/10(震度3)にすることができます。
1、転がり免震支承
転がり免震支承は、すり鉢勾配をもった2枚の免震皿とその免震皿に挟まれたボールで構成されています。
この装置は以下の性能を有しています。
・免震性能が高い
ボール型の転がり免震支承であるため、免震性能が非常に高く、しかも小さな地震から免震します(風揺れ固定装置が解除された状態で震度4程度の揺れから免震可能)。
・残留変位がない
IAUの免震支承は地震後に元の位置に完全に復帰し、残留変位を生じることがありません。
共振を起こさない
IAUの免震支承は固有周期を持たないシステムであるため、地震の揺れに対して共振を起こさず、長周期地震に対しても安全です。
2、引抜き防止付転がり免震支承
地震時・風時の建物の引抜きを防止し、地震時の捩れと風時の回転を防止する装置です。
この引抜き防止機能により、これまで対応が困難だった軽量建物や、高搭状比の建物にも対応できます。また、本免震システムは、免震支承だけでは捩れが生じないシステムですが、万が一生じた場合でも、この装置によって捩れが抑制されます。
3、全方位型油圧ダンパー
地震時の過大な変位を抑制する装置です。
想定外の大地震に対応可能なように、変位が大きくなればなる程、変位抑制能力が向上し、ストッパーへの衝突緩衝機能も併せ持っています。
4、風揺れ固定装置
建物の風揺れを防止する装置です。
平常時は基礎と建物とを固定しており、地震時にはその固定が解除され、地震後に再び固定が復帰します。これらの一連の動作が、地震力を利用して行われるため、電源設備等を一切必要としません。この装置により、高い免震性能と風で揺れないこととの両立が可能となります。
■IAU型免震のコスト
単純なおよそ矩形の建坪20坪の総2階建の建物で、免震装置にかかる費用(工事費アップ分)はおよそ350万円~400万円です。